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        プライマリー・カテゴリー(P類)航空機とは       [Oct.2004]

1 PL法がきっかけ

 プライマリー・カテゴリーは1992年9月に米国FAAによって耐空性の基準が設けられた航空機です。
それまでは、エクスペリメンタル・カテゴリー機など特別な航空機を除いて、小型航空機(最大離陸重量12,500ポンド
以下)は FAR Part 23 又は Part 27 (日本の耐空性審査要領第U部又は第W部相当)の基準に適合しなければな
らなかったのですが、米国はPL法施行の影響で大手の製造会社がレシプロ小型機の生産を打ち切ってしまい、 実
に最盛期の 1/10 にまで小型機の供給が減少してしまいました。一方、小型航空機の販売価格は大幅に上昇し、
小型機を運航する航空業界や、自家用機運航者にとっても大きな負担となっていました。 FAA はAOPA (米国操縦
士協会)と EAAの要望を受け入れ、以下のような小型航空機について、Primary Category という新しい基準を設けて
安価な航空機を提供できる道を開きました。

2 航空機の範囲

 非過給レシプロ・エンジンを搭載した単発機で、非与圧客室、4座席以下、最大重量2,700ポンド(1,225kg)以下、
失速速度61ノット以下の条件を満たすもの。(飛行機、回転翼機、グライダー、自由気球を含む)FAR Part 36(騒音
証明)はそのまま適用されます。

3 適用される耐空性基準

 原則として、FAR Part 23(飛行機)Part 27(回転翼機)などの基準が適用されますが、全面的なFAAの立会検査は
行わず、申請者の自主性に任せられます。 また、要求事項はある程度柔軟であり、申請者から別の耐空性基準を提
案することができます。現時点では、CAR 3(FAR 23の前身)、JAR-VLA(EUの超軽量機に対する基準)などを適用
することも認められています。

4 用途

 自家用機として使用できますが、完全な有償飛行や旅客輸送は禁止されています。 ある条件を満たせばレンタルや飛
行訓練が許されるようです。

5 日本で飛べるか?

 この基準に基づいて、初めてP類の型式証明を取得した航空機はクイックシルバーGT500をベースにしたモデルら
しく、カナダ国のウルトラライト航空機の審査基準により証明されました。これにより、完成機を製造・販売することがで
きるようになりました。 日本には、このモデルが輸入されたという話は聞いていませんが、これを日本で飛ばそうとす
ると、航空法上の問題が生じます。日本には、このカテゴリーの基準はないので、耐空証明の申請が出された場合、
航空局がどのように判断するか、今のところ全く予測できません。


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